西洋占星術の起源は古代オリエントにあります。紀元前1800年ごろバビロニア第一王朝初期の記録からは当時すでに黄道に9星座が定めれれていたことがわかります。現存する最古のホロスコープ紀元前410年頃(ペルシャ時代)のものです。
紀元前330年アレクサンダー大王の帝国成立により占星術はギリシャに流入し、ギリシャ神話の世界と融合していきました。その後はローマ帝国の治下でで発展し完成されていきます。現存する最古の占星学理論書がマニリウスの『アストロノミカ』です。その後に出たプトレマイオスが天動説の宇宙モデルと古代占星術を集大成したのでした。しかしローマ帝国でキリスト教が国教化したことにより占星学はギリシャ哲学などの諸学とともにシリア〜アラブ世界に流出しそこで発展を遂げます。
その後12世紀以降に西洋世界に逆輸入されフランスやイギリスでは宮廷お抱えの占星術師が存在しました。ヨハネス・ケプラーもまた占星術師として神聖ローマ帝国の宮廷に招かれています。イギリスのウィリアム・リリーはホラリー占星術を完成させました。
18世紀以降の科学主義の台頭にともないそれまで一体だった天文学と占星学との乖離が進みじ占星学はいったん廃れていきます。しかし19世紀末以降には科学主義への反動から神秘思想が流行した中で復活します。そこで功績があったのが神智学会の会員だったアラン・レオでした。
地上から見た黄道12星座上の天体の配置を示すものがホロスコープです。特定の生年月日・出生時刻・出生地のホロスコープがその人の“持って生まれた星”です。チャートの中央の水平線が観測者の立ち位置を表しており、上半分が地上から見えている天空、下半分が地球の裏側へ沈んだ天空です。黄道を示す外側の円は12の星座に分割されており、内側に中に太陽から冥王星まで10の星の位置が記号で記されています。星がどの星座に位置して星同士がどんな角度を持っているなど多数の要素からからその人の持って生れた性格や素質や運命を解読します。一般的な12星座占いは太陽の星座だけを平均化して読んでおりとても個々人に対応するものではありません。太陽と月の星座の組み合わせだけでも144とおり。人の数だけホロスコープはあるのです。
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個人の性格を形づくる三大要素が太陽と月とASC=上昇星座です。上昇星座は外面的な見かけや体質や行動特性を表しますが内面の性格や価値観は太陽と月に現れます。太陽星座とは一般に誰もが知る“私は○○座”という場合の星座ですが、月の星座も性格を形づくる星として太陽と同等の重要性を持ちます。太陽が理性的な意志と公的生活をつかさどり月は感情とプライベートを司ります。太陽星座の性格に納得のできない人は月星座をチェックするとだいたいは納得がいくでしょう。太陽と月が不調和な星座にあると理性と感情の分離した二面性のある性格となります。人と「合う合わない」は月の作用がかなり大きいです。
太陽と月との組み合わせだけで12×12で144通りの基本性格を形づくります。太陽は1年12ヶ月で12星座を一周しますが、月は約28日で一周するにに対し、二日半で月星座が変わります。あなたも太陽星座だけでなく月の星座もチェックされてはいかがでしょうか?
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12の星座(サイン)は四つのエレメント(元素)および三つのクオリティーに分類されます。それらをかけ合わせた分類は以下の表のようになります。
火と風は男性星座=能動的原理、土と水は女性星座=受動的原理に大別されます。さらに火は理念性、土は現実性、風は理論性、水は情緒性を特徴とします。活動星座は各季節の始めにあたる星座で活動性を、不動星座は季節の真ん中に当たることから継続性を、柔軟星座は季節の変わり目にあたることから柔軟性を付与されています。
クオリティとエレメントとの組み合わせから太陽星座や月星座のおおよその性格を推定できるでしょう。また出生ホロスコープの中でどのエレメントやクオリティに星が多く入っているかも読みのポイントとなります。
火 | 地 | 風 | 水 | |
活動星座 | 牡羊座 | 山羊座 | 天秤座 | 蟹座 |
不動星座 | 獅子座 | 牡牛座 | 水瓶座 | 蠍座 |
柔軟星座 | 射手座 | 乙女座 | 双子座 | 魚座 |
十の主要惑星はギリシャ神話の神々と対応しながらそれぞれの意味合いを持っています。太陽=アポロンは意志と公的生活、月=アルテミスは感情と私的生活、水星=ヘルメスは知性と言語コミュニケーション、金星=アフロディーテは愛情とセンスと金銭、火星=アレスは闘志とセックス、木星=ゼウスは発展と拡大、土星=クロノスは抑制と制限、天王星=ウラノスは突発性と最新技術、海王星=ポセイドンは夢と曖昧性、冥王星=ハデスは死と再生・極端性などを意味します。
恋愛関係についてはギリシャ神話中でも恋人だった金星と火星を見ます。具体的には男性の金星と女性の火星がアスペクトをとっていると恋愛関係になりやすいのです。そして一般に木星は幸運を土星は試練を与えます。天王星・海王星・冥王星が太陽や月に絡むと個性の強い性格をつくります。
ホロスコープの円内が12星座とは別の基準で12分割されています。これは東の地平線ASCと西の地平性DSCおよび太陽の南中点であるMCを基準とした分割でハウスと呼ばれるものです。
第1ハウスは自我、第2ハウスはお金、第3ハウスは一般知識、第4ハウスは家庭、第5ハウスは芸術表現と恋愛、第6ハウスは健康と労働、第7ハウスはパートナー、第8ハウスは配偶者の財産・セックスと死、第9ハウスは哲学、第10ハウスは社会的立場、第11ハウスは仲間、第12ハウスは隠された事。
そこに入る星によって幸運や試練の意味が与えられます。
一般に18世紀までの占星術が古典占星術。19世紀以降の占星術の占星術がモダン占星術です。天王星・海王星・冥王星は近代にいたって発見され占星術に取り入れられたのですが、古典派はこれらを取り入れません。
古典派とモダンにはそもそも価値観に大きなちがいがあります。最大のちがいは古典派が宿命論的な見方を重んじるのに対しモダン派は自由意志を重んじるところにあります。星のアスペクトについても古典派は吉・凶といった判断をしがちですが、モダンは調和座相を扱いやすいもの=イージアスペクト、不調和座相を扱いが難しいが本人次第で良く活かしうるもの=ハード(チャレンジ)アスペクトととらえなおしています。
宿命か自由意志かという問題はキリスト教内でも古い時代から議論されてきた問題で答えの無い問題のようでありますが、持って生まれた性格傾向や素質そのものを根本的に変えることは出来ないとは言え、それをどう活かしていくかは自分次第ということ考えることはできるでしょう。
臨床心理学の基礎を作った心理学者がフロイトの弟子として出発したカール・グスタフ・ユングです。今日誰もが知っている「外向的性格」と「内向的性格」の概念はユングが創出したものです。ユングは神秘思想としての錬金術哲学や占星術を学び、それを自らの分析心理学のモデルとしたのでした。そして逆にそのユング心理学の考え方を取り入れたのが心理占星学でその第一人者がイギリスのリズ・グリーン女史です。心理占星学では星と地上の出来事との対応さらには星と心理現象との対応をシンクロニシティーすなわち“意味深い偶然的出来事”としてとらえます。そしてすべての経験を心における出来事としてとらえて心的現実を重視するのです。例えば事故に遭うといった現象も心理的な葛藤が現象化したものということになります。ある意味でモダン占星術を極限まで推し進めた考え方と言えるでしょう。客観的現実の存在はどうなるのか?といった問題はありますが、性格を読み取っていくという面では心理学と占星学は融和性が高いのは確かです。
タロットカートと占星術とは理論的に関連が深いものです。
「太陽」や「月」といったカードはそのまま占星術の太陽と月の意味を当てはめて解釈することができますし、天秤のシンボルは天秤座のイメージで読むこともできるでしょう。小アルカナはそれぞれが四エレメントに対応しておりワンドは火、スウォードは風、ペンタクルは土、カップは水に相当します。またホロスコープ・スプレッドと呼ばれるスプレッドは占星術の12のハウスの位置にカードを展開していく手法でありハウスの知識が必須となってくるのです。なので街中の占いハウスなどで四柱推命とタロットを組み合わせてやっている方をみかけると正直複雑な気分・・・。
古代ギリシャでは星々がすなわちゼウスやアフロディーテやマルスのような神々でした。ですので星の配置から運命を読むということだけでなく願望をかなえるために星に対して祈るということも行われ来たのでした。これはすでに占いの域を超出して信仰もしくは魔術の領域に入っていきます。キリスト教会が問題視したのもこの点でした(『異教的ルネサンス』参照)。また西洋魔術では何らかの術式を執り行うのに星の運航を見て最も効果の上がりそうな日時を選ぶなどしますのでそういう意味でも占星術は魔術の一部門というということになります。中世にアラビア世界で成立した魔術書『ピカトリクス』(Picatrix)によれば護符(タリスマン)は然るべき星の配置の元で制作してこそ効果があるとされています。※『ピカトリクス』は日本語の翻訳も出ています。
本物の魔術師になりたいならまず占星術を学ぶことからはじめてはいかがでしょうか?